世界中で看護師不足が深刻化するなか、採血までロボットが行う時代が到来している。
米食品医薬品局(FDA)は2026年後半、オランダのVitestro社が開発した自動採血ロボット「Aletta」を初めて承認したとされる。これまで医療従事者が手作業で行ってきた採血が、自動化へと大きく進み始めている。
このロボットは、近赤外線画像、超音波、ロボットアームを組み合わせ、採血に適した静脈を自動で特定する。消毒、穿刺、採血、その後の処理まで一連の作業を行い、所要時間は約2分37秒だ。
1,633人を対象とした臨床試験では、最初の穿刺で採血に成功した割合が94.5%に達した。肥満の患者、高齢者、血管が見えにくい患者でも、成功率は90%以上を維持したという。
従来の手作業による採血は平均約3分25秒かかるため、ロボットの導入によって医療従事者の負担を軽減し、医療サービスの効率を高めることが期待される。
ただし、自動採血の本格普及には、安全性とコストの課題が残る。
米国のVeebotは2013年に自動採血ロボットの試作機を発表したが、技術面や資金面の制約から、現在もFDAの承認を取得していない。中国でも初期の自動採血装置は主に45歳以下の患者を対象としており、肥満患者や重症患者、血液凝固に異常がある患者への対応には制限がある。
さらに、針の位置ずれ、患者の突然の動き、血管の損傷、交差感染などを防ぐ必要があり、リアルタイム監視や緊急停止機能が欠かせない。
一方、台湾でも医療現場の自動化が進んでいる。
例えば、高雄長庚病院の健康診断センターでは、検体の自動搬送システムを導入。1時間当たり最大1,200件の検体を処理でき、業務効率は48.6%向上したとされる。
医療の自動化は、医師や看護師を完全に置き換えることが目的ではない。
採血や検体搬送のような標準化しやすい反復作業をロボットに任せ、限られた医療人材を、より高度な専門的判断や患者のケアに集中させることが重要だ。
今後の医療現場では、医療従事者がすべての作業を担うのではなく、人間とロボットが役割を分担する仕組みがますます重要になっていくだろう。